作成中(最終更新日:2022/08/27)

創造的・独創的なナノ・マイクロシステムの研究開発に資する3次元微細加工と機械システム工学に基づいた設計・解析を主な基幹技術として、量子干渉効果を用いたチップスケール原子センサや医薬品開発・疾患機序解明における革新的なツールとして期待される組織チップ(Organ-on-a-Chip, Body-on-a-Chip)へ展開しています。現在は、下記に示すナノ・マイクロ科学領域の研究分野における基礎的な学理の解明・構築を進めるとともに、世界をリードする分野融合型研究や産学連携にも積極的に取り組んでいます。


Nano/Microfabrication

ポジ型感光性樹脂の3次元マイクロ構造体

ナノマイクロ加工:3次元微細加工技術と設計論の構築

多様化が進むナノ・マイクロデバイスの高機能化・高性能化に対応する独自の3次元微細加工・集積化技術(シリコン、感光性樹脂)の開発と機械システム工学に基づくデバイス設計・解析の方法論の構築を行なっています。これらの研究をベースに、微細加工用装置の製品化(移動マスクUV露光装置:株式会社大日本科研)やプロセス開発支援シミュレータの開発、さらにこれらの開発技術を応用したこれまでにない高機能デバイスの設計・開発・製造なども民間企業と連携して進めています。

  • J. Micromech. Microeng.17 (2007), pp.199-206; Abstract
  • J. Microelectromech. Syst.24 (2015), pp.1856-1867; Abstract

Nano/Microdevice

小型原子時計用アルカリ金属ガス封入セル

ナノマイクロデバイス:高性能チップスケール原子デバイスの開発

量子科学技術を応用した高度な操作・制御技術の進展により、センサの感度や計測分解能を極限まで高める研究が活発になっています。次世代情報通信基盤(Beyond 5G/6G)や自動運転技術のキーデバイスとなる超小型原子時計(※PCや腕時計に搭載されている時計より約1万倍も正確な小さな時計)の要素技術開発を中心に、細胞内のわずかな生命現象の変化を捉えることのできるダイヤモンド量子センサを搭載した先端計測デバイスなどの研究開発を進めています。

  • J. Vac. Sci. Technol. A34 (2016), 061601; Abstract
  • Jpn. J. Appl. Phys., 60 (2021), SCCL01; Abstract

Micro-Biosystems

臓器間相互作用を模倣できる組織チップ

マイクロバイオシステム:センサ・マイクロ流体技術を使った生体模倣システムの創製

マイクロ流体チップとヒト由来細胞を使ってヒト体内のしくみを模倣する「ボディ・オン・チップ(組織チップ)」は、動物実験を補間する創薬試験デバイスや疾患モデルとして世界的に注目されています。本研究室では、機械システム工学に基づいた組織チップの設計・加工技術の開発、また組織チップにセンサを集積して細胞組織や臓器間相互作用をリアルタイムで計測・分析する技術基盤を構築することで、新しい医薬品の開発や疾患機序の解明のスピードアップを目指しています。

  • RSC Adv.7 (2017), pp.36777-36786; Abstract
  • Biomicrofluidics, 16 (2022) 044113; Abstract
  • Commun. Biol., 6 (2023), 310; Abstract

Nano-Bioscience

イオンチャネルの動きを捉える1分子計測

ナノバイオ科学:膜タンパク質の機能制御機構を解明する1分子計測技術

細胞膜に存在する大きさ約10nmのイオンチャネル蛋白質は、ヒトの感覚を制御する生体センサとして働くことが既に知られています。様々な計測技術の発展によりイオンチャネルの立体構造解析は進んでいますが、本質的な機能やメカニズムは未解明のままです。そこで本研究室では、物理・化学的刺激によってイオンチャネルが機械のように動く様子を白色X線と金ナノ結晶を使ってその場で動画計測する「X線1分子動態計測」の技術確立に取り組んでいます。これらの研究成果は、生命活動の核心に迫る未知の研究課題へつながることが期待されています。

  • Transducers2019; Abstract
  • Transducers2023;